アメノウオ一代 その15 おれに言わせりゃ・アメノウオ編  竿について

--それじゃあねえ、アメの釣りの道具について教えて? まず竿は?

 竿はあれだね、まあ俺は硬いほうが好きだな。

--硬調か?

 硬調だな。今の衆みたいにあんなヘナヘナの竿みたいなのはとてもかなわん。

--調子は?

 まあ、七三かあるいは八二か、七三だろうねぇ。うーん。そりゃそれが本当だもん。そりゃこの竹の穂先だってそうだ。曲げれば必ず七三ぐらいで曲がっていっとるはずだ。そんな今の竿みたいに六四みたいになりゃせんもん。そうだろ。うん。

 それだから俺いっつもそう言うだい。お前らは延べ竿っちゅうもんを使った経験がないけど、延べ竿の調子が一番いいだよっちゅって。それだもんで今でも、あのカーボンの竿でも、例えばさ、一番根っこは厚さが一ミリあります。その次はコンマ8ミリです。その次はコンマ7ミリですっていうように作ればこうなると思うだい。それじゃあコストが上がったり製造が難しいもんだい均一で、太さとテーパーだけで加減をせいと思うもんだいそれで胴っぷれがするだよ。胴っぷれっちゅうのはこう竿をタメた場合に、こらえてこう持っとるとプルプルプルプル振れるだ。竹の竿ならギューウッとこう持ってこれるで魚がスーウッと寄っちゃうだけど。うん。

--それは経験したことが無いなあ。

 振れるよ。アユ釣り竿でもそうだ、今の竿見とると、進達が釣っておるの黙って見とるとああ振れるなあと思って。おれが作った竹の竿ならそんなこと絶対ないもん。不細工だかしらんがグーッ、スポッとこう抜けちゃうもん。

 それだもんで見てみい、テレビでアユ釣りのビデオだなんて見とるとなまじ弾力性があるもんだでギューンと抜いてこんなして受けてやがる、バスケットボールみたいに。

 おらンとうはそんなことしやぁせんこうやってギューッとやって持ってきて水面からちょっと上がったところでこうやって受けるけど。今の衆こうやって受けとる。オトリがたまらんわいあんなバカされちゃあ。(笑)


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