飛行日誌

各社電動ラジコン機の翼面荷重と重量の比較

 ヘンク・テネケス博士という航空科学者・技術者の書いた「鳥と飛行機どこがちがうか」という、飛行機好きにとってはたまらなく面白い本の中に、昆虫からジャンボジェットまで、空を飛ぶものの翼面荷重と重量を整理したグラフが載っていた。

 それを参考に、手持ちのカタログや雑誌の記事から、各社から発売されている電動ラジコン機の翼面荷重と重量を一覧表にしてみた。(表-1)

 軽いモーターグライダーでは 10g/dm2 を下回る機体から、双発スケール機では 90g/dm2 に迫る機体まで、ひとくちに電動機と言っても実に幅が広い。

表-1 各社電動ラジコン機の翼面荷重と重量の比較表

発 売 元 名   称 翼長(mm) 全備重量(g) 翼面積(dm2) 翼面荷重(g/dm2)
OKサフラン 1,168 170 17.89.6
イリサワLO-100 980 145 12.911.2
PILOTカルダモン 1,200 240 18.213.2
イリサワシュトルヒ 1,050 280 19.414.4
イリサワBloody Mary 1,445 450 29.815.1
イリサワFord Tri-Motor 1,060 250 16.515.2
リトルベランカサプライズ12 2,060 610 36.016.9
スクラッチコメット 1,045 330 19.217.2
スクラッチElectric Kitten 1,270 453 26.217.3
イリサワアルバトロス3 630 310 17.717.5
イリサワAIRCO DH-2 860 440 24.518.0
イリサワスキッピー 920 370 19.219.3
アルバモデルフェスター・シュペーツィ 900 500 25.819.4
ヒロボーROBIN 360 50 2.520.0
ヒロボーWingo 1,100 550 26.021.2
イリサワPIGUE3 1,040 452 21.021.5
QRPMOGRA400 1,400 480 22.021.8
スクラッチNORA400 1,430 590 27.021.9
アルバモデルホーク 1,040 820 35.023.4
イリサワこまどり400 1,100 450 19.023.7
イリサワスクリュードライバー 1,040 500 21.023.8
ヒロボーサンセッター 1,760 700 29.024.1
スクラッチSM-Biplane400 980 550 22.724.2
QRPRED-BARON 890 590 24.324.3
京商スカイモード700 690 175 7.124.6
OKバリ 1,560 600 24.324.7
OKセブ 1,560 610 24.325.1
IMイージードリフター 1,040 550 21.625.5
PILOTターメリック 1,562 660 25.925.5
GWSゼロ戦 850 350 13.625.7
GWSA-10 サンダーボルト 968 360 14.025.8
OKシナモン 1,480 750 26.927.9
ムサシノ改造スカイカンガルーEP 1,440 720 25.628.1
QRPEP-Cub/Mk2 1,025 500 17.428.7
IMウィークエンドSP 1,170 550 18.729.4
ラトルスネイク1/24 零戦 500 120 4.030.0
ヒロボーG-22M 1,440 620 20.031.0
HPIスカイキッド 770 220 7.031.4
コスモテックTa 152H-1 1,200 520 16.032.5
ムサシノパストラル 1,590 950 29.032.8
HPIスプラッシュ 1,010 440 12.036.7
HPIスカイウェーブ 1,010 450 12.037.5
ムサシノ電動プレイリー 1,195 900 23.837.8
リトルベランカテルミックドリーム 3,000 2,600 60.942.7
ZPF16 572 383 8.943.0
ヒロボーEP540-2 1,255 1,230 26.446.6
アルバモデルニンバス4D 5,280 3,550 74.048.0
ZPTA-7C コルセア 710 454 9.348.8
WattAgeF-86 750 545 10.551.9
ヒロボーGROB G-109 1,300 800 15.252.6
ヒロボーSPORTAVIA RF-5 1,300 800 15.252.6
ヒロボーDH88 Comet 1,150 800 14.754.4
WattAgeCAP 232 914 794 14.255.9
リトルベランカディスカス2a 3,750 4,200 64.864.8
ヒロボーDORNIER Do335 820 900 13.566.7
ヒロボー百式司令部偵察機 1,150 1,300 14.589.7
注:重量は、カタログ値の軽い方で計算

さらに、翼面荷重を横軸、重量を縦軸にとり、両対数グラフに整理したのが図-1である。

図-1 各社電動ラジコン機の翼面荷重と重量の比較図
注:縦軸、横軸ともに対数プロット

 翼面荷重とは、その単位(g/平方dm)が示すように、主翼の単位面積あたりにどのくらいの重量がかかっているか? という指標であり、自作機の NORA400 の場合、主翼1平方dm(10cm×10cmの大きさ)に約22g(1円硬貨約22個分)が載っていることになる。

 同時にこのことは、単位面積あたりの主翼が、翼面荷重分の揚力を発生しないと、その機体は水平飛行できないことになる。前述の本によれば、翼の対気速度をV、空気密度をdとすると、翼のまわりの気流で生じる力は、

 d×V×V

 に比例する。同じ主翼が同じ高度を、気流に対して同じ角度を保ちながら2倍速く飛ぶと、発生する揚力は4倍になる。1.414倍速く飛ぶと、2倍の揚力が発生する。

 いま仮に、同じ電動ラジコン機にちょっと、というかかなり欲張って大きなバッテリーを積み、翼面荷重が倍になったとすると、その飛行機は以前よりも41.4%速く飛ばなくてはならない計算になる。

 上記の表や図に示した各種のラジコン飛行機の場合、主翼の翼型とか胴体の形状とかいろいろ考慮すべき要因はあるものの、基本的に、翼面荷重の大きな機体は速く飛ばなくてはならない、といえる。

 手持ちの機体での数少ない経験から言うと、同じ主翼を使い回している2機のうち、エンジン機のプレイリーが 33.6g/平方dm、電動化スカイカンガルーは 28.1g/平方dm(83.6%)という翼面荷重となっている。翼面荷重が83.6%に減少したので、単純に計算すると飛行速度はプレイリーの91.4%まで、約1割弱低下することになる。しかし、実際飛ばしてみると、この1割の速度低下が実に大きく感じられる。電動なので音が静かなこともあり、目の高さぐらいの高度でグラウンドをぐるぐると周回飛行させる時の安心感は、初心者にとって本当にありがたい。これが NORA400 となると、スカイカンガルーよりもさらに1割以上低い速度で飛ぶ計算になる。実際、NORA400の低速飛行は本当に楽であり、飛んでいるというよりも「浮いている」感じがする。

 もっとも翼面荷重が小さければ小さいほど良いかと言えば、そうでもなく、翼面荷重の小さな機体は風に煽られやすいので、ちょっとの風でふらついたり、飛ばせる時間帯が限られてしまう。私の電動化スカイカンガルーや NORA400 などは早朝の、本当に風の無い時にしか飛ばせないし、エンジン機のプレイリーでも、ちょっと風が出てくるとお手上げである。おそらく、初心者向きの機体としては、翼面荷重が25~35g/平方dmぐらいの機体が適しているのではないかと思われる。

 再び図-1を見てみると、翼面荷重と重量の平均値は、それぞれ 30.9g/dm2 と 690g であった。個々の機体について言えば、重量の割に翼面荷重の小さなグループとして、

Bloody Mary
サプライズ12
サンセッター
ホーク
テルミックドリーム
ニンバス4D
ディスカス2a

 などである。一方、重量の割に翼面荷重の大きなグループとしては、

スカイモード700
1/24零戦
スカイキッド
スプラッシュ
スカイウェーブ
F16
TA-7Cコルセア
F-86
SPORTAVIA RF-5
GROB G-109
DH88 Comet
CAP 232
DORNIER Do335
百式司令部偵察機

 などであり、スケール機がその多くを占めている。スケール機の場合は、実機の形状をできるだけリアルに再現するために構造が複雑になったり、重い材料を使わざるを得ないために重量が大きくなるので、翼面荷重が大きくなる。必然的に速く飛ばなくてはならないので、スケール機は初心者にお薦めできない理由がよくわかる。

 また、スカイモード700とかスプラッシュなどは、宣伝上は初心者向けの機体ということになっているのだが、翼面荷重が大きく、速く飛ぶので、案外操縦は難しいのではないかと思われる。

 ちなみに、SM-Biplane400 という機体は、現在設計中の電動機である。目標重量 550gで考えているのだが、とても実現できそうにない。(笑) おそらく700gぐらいにはなってしまうだろう。こうした検討を、図-1にプロットしてみると、自分の考えている機体が、市販されているの機体のうちどんな機体に似て出来上がるのかが想像できて楽しい。

2003/09/27

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