ニュージーランド ティップス集
  南島西海岸でのブラウントラウト釣りのコツ

 2010年に南島西海岸をブリントさんのガイドで釣り歩いた時、インタビューをして、彼の地でのブラウントラウト釣りのコツを伺いました。その YouTube 動画 Fly fishing tips for brown trout of NZ の文字起しをしたので以下に載せておきます。どうぞ参考にして下さい。

 ウェストランド(ニュージーランド南島西海岸)でブラウントラウトをフライで釣るのに最も重要な点は、リーダーの長さです。リーダーとティペットを合わせた長さが、最低でも14~18フィート必要になります。

 ブラウントラウト、特に、以前に釣られたことのあるブラウンは、フライラインが水面を叩く音にとても敏感です。彼らにはその音が聞こえるのです。ですから、ソフトなプレゼンテーションであれば、フライの着水音は聞こえません。

 第二に、ブラウントラウトへのアプローチです。あなたは川を歩いていて、前方、すなわち上流側に彼らを見ているわけです。後ろからこっそりと、彼らの視界が限られている、「フィッシュ・ウィンドウ」の外側へと近づいて行けばいいのです。

姿勢を低くし、目立たない服装で、
静かに、慎重にアプローチ

 そして、その行動の間は、水中で音を立てないようにします。そうすれば、流れの横切ることなく、あなたが必要としていた位置で、プレゼンテーションのチャンスを得ることができます。

細心の注意を払い、ごく静かにアプローチする

細心の注意を払い、ごく静かに
フライをプレゼンテーションする

 そして最後に、トラウトに与える餌(=フライ)には、重さを持たせて、魚の定位している深さまで沈める必要があります。なぜなら、魚がある角度(おそらく、やや下向き)でニンフを捕食している時には、しばしば浮いて流れて来るドライフライを見ていないからです。

 さらに、あまりに遠く横に離れた筋を流れているニンフも、鱒の眼に入らないでしょう。

そのためには、魚の泳いでいる水深に合わせて、魚が、少しだけ横に移動して餌を捕らえることができる筋に、正確にニンフを流す必要があるのです。

ドライフライの注意点

 同じドライフライを2回使用したら、フライを交換します。2回以上続けて同じフライを使ってはいけません。

 その後、必要に応じて別のドライフライを2回だけプレゼンテーションします。それでも興味を示さない場合は、ニンフを使います。つまり、まずドライフライで水面上を釣り、次にニンフで水中を釣るのです。

 そして、すべての試みが失敗してしまい、ブラウントラウトが反応しない場合には、ドライでもウェットでも、フライボックスに入っている中で、最も奇抜なフライを使います。特に、小さなストリーマー・パターンをキャストし、ストリッピングして目の前を横切らせると、鱒はすぐに反応することが多いです。

 しかし、一般的に、海から遡上して来た降海型ブラウンたちは、ドライフライやニンフが何であるかを知りません。それでも、ストリーマー・パターンは確実に知っています。なぜなら、それまで連中は小魚を餌にしていたからです。

河口近くでキャッチした降海型ブラウン。体色が銀色に輝く

河口近くでキャッチした降海型ブラウン。体色が銀色に輝く

 ところが、河口からホワイトベイトが遡上して来なくなると、河口域での降海型ブラウンの釣りシーズンは急に低調なものになります。その時点でブラウンたちは上流へと移動し始め、他のタイプの餌を捕食し始めます。そこで、ドライフライやニンフの出番となるわけです。

 しかし、考慮しなければならないことは、まだまだたくさんあります。

 ウェーディングシューズにクリート(鋲)を付けたり、水中でウェーディングスタッフを使ったりすれば、石がゴロゴロしている川底にいるブラウントラウトは、すぐにそれを聞きつけて逃げてしまいます。

 もし、サイトフィッシングをしていて、発見したブラウントラウトの尾ビレがユラユラと動いていれば、フライを何回交換させられたとしても、釣り上げられる可能性があります。

ヒレをユラユラと動かして、リラックスモードのブラウントラウト。スプリングクリークにて。

ヒレをユラユラと動かして、リラックスモードの
ブラウントラウト。スプリングクリークにて。

 しかし、もしトラウトの魚体が硬直しているように見えたなら、それはショック(警戒)モードに入った証拠で、逃げ出そうとしている可能性がありますし、きっとそうなるでしょう。だからこそ、あなたは慎重に彼らを釣らなければならないのです。

 ブラウントラウトを何度も釣っていると、彼らの動きを観察することができ、何日か前に釣り上げられた魚であれば、その反応でわかるようになります。しかし、考慮すべき点は本当にたくさんあります。

 ブラウントラウトのもう一つの特徴は、彼らは基本的に怠惰な捕食者であるということです。エネルギーをなるべく使わずに済むように、ゆっくりと流れる水の中に体を置き、流れの速いところに鼻先と口とを入れて餌を捕ります。

水面下、30cm ほどに定位しているブラウン。
赤矢印が主流、黄色い線がシーム(流れの縫い目、境界)、
青線の丸が緩流帯。

主流の上に餌が流れて来ると、緩流帯から
横に動くと同時に水面に浮上して捕食する

 岩の前後、丸太の前後など、エネルギーを必要以上に消費しない、シーム(流れの縫い目、境界)と呼ばれる場所の緩流部側へと戻って行きます。こういった、流れが砕け、途切れ、淀みが出来ているところならどこにでも居付くのです。

倒木の上流側に居付いていたブラウンがセミフライに近づく

倒木の上流側に居付いていたブラウンがセミフライに近づく

 そして、暑い時期(11~2月)には、魚は水が温かくなったエッジ(急流と緩流部の境界部)にはあまりいなくなり、酸素が多く溶け込んでいる、冷たい水の瀬に居付くようになります。

 まぁ、そんな感じで、これらを話せばキリがありません。でも、いくつかの重要な点についてはお話しできました。

 聞いてくれてありがとう。

2021/09/30

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