釣行日誌 故郷編

1998/04/29 本流 にて

天候 曇りのち晴れ 風やや強し 05:00~19:00

 連休の真ん中の飛び石休日なので、おそらくは人も多いし道も混みそうだと気が引けたが、釣りの魅力には勝てず、3時前に起き出して車を走らせる。

 車を止めてオニギリを食べ始めると朝の5時。解禁直後を過ぎるとめっきり人の減るこの川に、今日は本流のアマゴ狙いでルアー竿を組む。

 案の定、釣り人の影はない。犯行現場を再度訪れる犯人のごとく、先週の日曜日にいい思いをした土捨て場から入渓。河原に足跡があるも、今朝のものではなさそうである。

 先週、いくつかニジマスの魚影を見たポイントを執拗にスプーンで攻めるが、魚の気配が無い。尺アマゴがルアーを追ってきた淵でも、所在なげなウグイの群がいるだけである。とはいえ、誰もいない広大な本流を、腰まで水に浸かりポイントを目指して遡行するのは何にも代え難い至福の時間である。まぁ、魚が釣れるに越したことはないですが...。

 対岸の杉に絡まる藤の花の紫が妖艶な春の朝である。

 先週立て続けに3尾のニジマスが釣れた荒瀬のポイントに来て、何の変哲もない石裏の淀みで、クンッという当たりとともにロッドが引き込まれる。流れの中を注意して寄せてくると、良い型のニジマスである。今日は派手なジャンプもせず、大人しく寄ってきた。ひょっとして先週釣った魚ではないか?とも思う。善良素朴な放流ニジマスならあり得る話である。写真を撮って確認しよう。それにしてもニジマスは緩い流れが好きだなあ。

 気を良くして、さらに釣り上がる。護岸のための十字ブロックの連続するポイントまで来て、重いスプーンではブロックに根がかりしそうなので、虎の子のミノー(なんと2,200円!無くしたら顔面蒼白モノ)に変えて、淀みにキャスト。

 すると、着水と同時に水しぶきが上がり、黒い魚影が電光のようにミノーを追いかけてくる! そして流心まで来たところでようやくヒット、しかし手応え無く寄せられてきたのはなんと丸々と太った20センチオーバーの大物カワムツ!

 自分の体の半分もあるミノーのテールフックにがっぷりと食いついている。今年はずいぶんとカワムツに縁があるなぁ。しかし、ミノーのアピールはすごいモノがある!と感心する。

 本流の長く広い瀬を渉り、淵じりまで来たところで、水中に悠々と定位する大きな黒い影を発見。距離があるのでスプーン8gに交換し、慎重にキャスト。一投目はやや下流に落ちる。二投目はドンピシャリ。影の前をひらひらりとスプーンが横切るが、影は見向きもしない。よほどスレた大物イワナかなと思い、なお数回キャストしてみるが、どうも反応が無い。思い切ってザブザブと近づいてみると、なんと、40センチはある黒い細長い石であった。俺にも焼きが回ったなとがっくり。

 キャンプ場への橋の下の大淵で、弛みのグルグルを流していたスプーンにゴツンとヒット。変な走り方をするなと思っていると、イワナの腰のあたりにスレでかかっている。ま、しかし、1尾は1尾である。

 やや疲れを感じ始めたが、キャンプ場の上流に、お気に入りのポイントがあるので、そこまではがんばることにする。キャンプ場からの沢の流れ出しで、小気味良い当たりがあり、流れの中を青い背中が近づいてくる。

「アマゴかっ?」

と喜んだが、見事に保護色となった青い背中のニジマスである。上流に2カ所もマス釣り場があるので、長雨の続いたこの春には、たくさんのニジマスが下流へと落ちてきているようだ。これでアブラビレのある魚は3尾目。カワムツやウグイがつまらないとは言いませんが、やはり鱒たちに惹かれるのが正直なところです。

 傾斜のある瀬からなだれ落ちるようにしてできた細長い淵がこの川での私のお気に入りポイントである。淵の尻、瀬からの落ち込み、淵の核心部、対岸の弛み、執拗にスプーンを泳がせるが反応は無い。アマゴの放流数が少ないので、落ちマス以外にはあまり期待できないのがこの川の現状である。

 ポジションを上流に変え、ルアーもミノーに変えてからそれまでと違うアングルで流れ込みの中をダウンストリームで引いてくると、コツッ!と鋭い当たりがあり、流れ込みのざわめきの中で白い大きな腹が二転三転しながら下流へと流れてゆく。

「あちゃー!アマゴだ! フッキングせずにバレたらしい」

 いい型のアマゴの白い腹だけが眼に焼き付いた。うーん、あれだけスプーンを引きまくった後にミノーに変えたら一発で反応したか。稚アユが放流された今の時期は、アマゴは動きの鈍い稚アユを好んで食っているようだ。マッチ・ザ・ベイトという観点では申し分ないのだが、ミノーはフックが小さいので、ややフッキングが悪い気がする。もっともフッキングが弱いのは私の昔からの欠点なのですが....

 久々のアマゴに気を良くして、もうひと頑張り、旧道の橋まで行くことにする。

 だらだらーんと瀬でもなく淵でもないポイントが続き、大石が点在する倦怠感のある大場所にやってきた。とりあえず下流側の石でできた乱流の中にミノーを投げ入れ、ぐりぐりと棒引きしてくると、カカカクン!とロッドが震え、いきなりドラグが鳴り出した。

「おおーっ!」

とあっけにとられて見ていると、流れの中を横走りに疾走した魚体が一瞬のジャンプを披露し、なんなくフックを外してしまった。

「がーん! 今のは尺はあるニジマスだったが! うぅーっ!」

 と、悔しがるが後の祭り。気を取り直してそのポイントの横の深みにミノーを投げる。クリクリクリとリーリング。ゴクッ!

「ヒーット!」

 今度はやったね! と引き寄せてくるとまたしてもスカーンとフックが外れる。うーん、あかん。どうもフッキングが下手である。いくらこぼれニジマスとは言え、これだけ外しまくってはいけません。

 悔しくてもどうしようもなく、もうひとがんばりと思って少し上流でキャスト。すると、今度はプルプルッとかわいい当たり。当たりに相応のかわいいニジマスが食いつきました。あーっ、やっぱり逃がした魚は大きいわい。

 それでも、今日の収穫は、ミノーの威力を発見できたことである。スピナーに始まり、スプーンで長いこと戦い、いよいよ最終兵器を物にしたか?あかん、あかん。ミノーの小さなフックでも確実に合わせられる反射神経を身に付けんとあきまへん。

 今日の教訓は、

 俊敏な反射で、確実なフッキングを!

 ということでした。


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