飛行日誌

2003/06/28  梅雨の合間の青空を舞う

 5月中旬からお世話になっている、河川敷の飛行クラブに今日も早朝からやってきた。自宅からは約75分のドライブである。まだ朝の8時前だというのに、常連のベテラン先輩諸兄が念入りに機体の調整を始めて、気の早い方はすでにブンブンと飛ばし始めている。

ある日の河川敷飛行場

ある日の河川敷飛行場

 私も軽トラックからいそいそと機体を取り出し、燃料を給油し、受信機のバッテリーを装着し、始動用具を取り出して、いつでもエンジンがかけられるように準備する。

 ヘリコプターあり、スタント機あり、2m級のグライダーあり、400クラス電動機あり、と、端で見ていても、諸兄の車から出てくる機体はバラエティに富んでいる。さらに、毎週毎週出てくる機体が違うので、この方々はいったい自宅に何機を格納しているのだろうかと驚かされる。また、これまでに投下された資本金・時間をおもんばかると、釣り同様、この道もかなりぬかるんでおり、底が見えないことがわかる。

 カーボンロッドの表面や、ラジコン飛行機の機体を被覆しているフィルムには、奥様方の冷ややかな呟きと視線が、しっかりと付着しているのであろうか?

 さて、皆さん一通り朝1番の飛行を終え、大ベテランのOさんが、

「伊藤君、じゃ、飛ばそうか?」

 と、声をかけてくれる。現時点では、離陸・着陸はおろか、上空での旋回飛行もままならないので、毎週誰かしら、ベテランの皆さんが手取り足取り教えてくれるのである。

 数滴のアルコール燃料をキャブレターに垂らしてプロペラを5~6回ほど回し、単1アルカリ乾電池6本並列という、 創意溢れる 実は予算節減の現れである自製のプラグブースト用電源で ENYA No.3 の白金プラグをジジジと熱し、これも手製の指叩き防止用簡易プロペラ回し棒で 8×4インチのペラを力強く回すと、ビビビィィィーという軽快な音で ENYA 09BBエンジンは元気に始動しなかった。(笑)

「あれぇ?」

 ぐぃっ、プス。ぐぃっプスプス。ぐいっプス........などと数回ペラを回しても、反応が無い。

「おかしいなぁ?」

 少々焦りつつ再び始動を繰り返すが、エンジンは目覚めない。

「ちょっと見せて」

 Tさんが見かねて手伝ってくれる。ひょいと人差し指と親指とでスピンナーをつまみ、ペラの回転方向とは逆にクィッと捻ると、あら不思議、機嫌良く ENYA09 が回り始めた。

『ううむ。ああしてエンジンをかけるのか.......』

 本を読んでもネットを漁っても知ることの出来ない、貴重な Tips を今日も一つ学ぶことができた。10年前、なにもわからず始めたラジコン飛行機であったが、独学・独力では挫折してしまったのも無理のない話である。

 これまで皆さんが苦労して整地し、草刈りを絶やさずに整備してきた私製30m滑走路(未舗装)の上をOさんの見事な操縦で、10年もののプレイリー号(主翼はスカイカンガルー号)が軽々と滑走して梅雨の晴れ間に舞い上がった。ヴィビビビィィーとエンジン音も軽快に、穏やかな旋回を繰り返しながら高度を上げて行く。

『ラジコン飛行機って、本当に飛ぶんだなぁ......』(笑)

 などと、妙な感慨に包まれながら、苦労して作り上げたものの独学での飛行に失敗し、箪笥の上でホコリまるけの苦節10年を堪え忍んできたバルサキットが大空を舞い遊ぶ姿を見つめる。

 と、Oさんがプロポを手渡してくれて、

「はいこれ。落ち着いて、なるべくまっすぐ飛べるようにがんばって見て」

「うわ! まだココロの準備が.....」

 と思ったが、すでにプロポを渡されてしまったので、深呼吸を繰り返しつつ、機体を目で追い、水平直線飛行に入る。なんとか真っ直ぐ飛ばせるが、すぐに理想の飛行エリアの端まで行ってしまったので、地上で教えてもらった要領で旋回を始める。

  1. ほんの少しの操舵量でジワァァァッとラダーを右に打つ、
  2. 機体が右に傾き、ゆっくり旋回を始める、
  3. 少しずつ高度が下がるので、エレベーターをジワッと引いて、高度を保つ
  4. 旋回を終えたいポイントの少し手前で、少しだけラダーを左に当て、直線に戻す

 という一連の操作で、なんとか自力で高度を保ちつつ旋回ができた。まだ旋回の半径や始点・終点、飛行高度などが安定しないが、一瞬の離陸→墜落を繰り返していた10年前と思えば雲泥の差である。よろよろと水平直線飛行→ヨタヨタと旋回を繰り返す。掌は汗ばんできた。

 胸ポケットに入れていたキッチンタイマーが8分経ったことを知らせてくれた。プロポをOさんに返すと、ぷっつり緊張の糸が切れて、どっと疲れが出た。それでも自力飛行6分程度が実現した。これまでの通算飛行時間、十数秒を大幅に上回ることができた。(笑)

 しかしラジコン飛行機は楽しい。思い起こせば10歳の頃の夢がかなったわけである。苦節30年か。(泣)

 いやぁ、本当に嬉しく、緊張した、だが楽しい一日であった。晩酌のビールがとてもうまかった。


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