ニュージーランド ティップス集  困った時の○○○○○○

 そのマテリアルが欲しい一心で、蕨市の佐々野釣具店さんを訪れたのはもう一年も前のことになります。ご主人に在庫を訪ねると、

「あーっ、もう残り少なくなっていたかなぁ....」

 ショーケースの奥から取り出してきてくれたのは、細身の白とちょっと太めの黄色でした。

 インターネットの通信販売で買って、擦り切れるほど繰り返して見た英語版ビデオ、"JACK DENNIS'S ANGLER'S GUIDE TO NEW ZEALAND" では、ジャック・デニス氏が自信を持ってはるばるアメリカから持ち込んだそのフライを使っていました。

 ネルソン近くの渓流で、茶色に濁る淵の底から現れた7ポンドのブラウンがネットに納まった時、黒褐色の足を付けたそのフライはすでに鱒の口から外れていました。

 ジャックはうれしそうにそのフライに口づけをして見せます。

 スプリンククリークで、川本くんの投げたドライも、ディーン君の持っていたスペシャルニンフも通じなかった時、思わずディーン君は後ろの私に向かって

「あれ持っていない? あれ!」

 と、大声で尋ねました。私はフライボックスのデカめのニンフの一箱から、黒いシェニールのボディ、白い長い足を8本付けた、普通なら見たくないようなその一本を彼に渡しました。

 淵の流れ込みに定位するブラウンの2m上流に、たっぷりとウエイトを巻き込んだそいつが落ちると、ブラウンはぐらっと身を翻してゆっくりと噛みつきました。

ラバーレッグ、困った時のラバーレッグ.....だな。


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