釣行日誌 故郷編
2021/11/04 浜の真砂は尽きるとも.....
朝一番で都市河川に出かけたが、コイを愛する善良な市民の皆様からの、突き刺さるような糾弾の視線から逃れて帰途についた。
ちょうど昼時になったので、放水路の橋から堤防道路へカブを乗り入れ、お弁当とする。今日は手抜きでカロリーメイトとサーモスの温かいコーヒーのみ。
小高い堤防から見ていると、はるか彼方でなかなかのサイズの魚体が大きくジャンプをしている。
『ははぁ、ボラだろうな.....』
すると、こちら岸、護岸ブロックから数メートルぐらいでもバッシャンとジャンプ。40~50cm は楽にありそうだ。あちこちで空中に飛び出す白銀色が、心の中の導火線の被覆をじわじわと剥いてゆく。
カロリーメイト3袋を平らげる頃には、マッチを擦る音がしっかり聞こえた。(笑)
あまり聞いたことは無いけれど、あれだけたくさん居れば、一尾くらいは間違ってフライに喰いつくかも.....と、毎度毎度の根拠無き期待だけがふくらんで、押っ取り刀で水辺へと降りてゆく。
なんとかの一つ覚えで、手芸用品店で買った発泡スチロール玉の浮子と、オレンジ色のビーズヘッドが付いた黒のウーリーバガーという、玄人衆には大笑いされそうな仕掛けで、慎重に水際から狙っていく。
時折、ブロックのすぐ前の川底を大物ボラや、座布団ほどのアカエイ? が通り過ぎてゆく。
以前、同じような仕掛けでニゴイを狙っていたら、間違ってアカミミガメの甲羅を引っ掛けてしまったことがあった。逃がしてやったのだけれど、亀をいじめたことで乙姫様のお怒りをかったのか、以後数週間、釣運がひどく悪化した。だから、エイだけは釣りたくないな.....と恐れおののく。
遠く対岸では、若い人が珍しく長い延べ竿で、粘り強く何かを狙っている。ハゼだろうか?
真っ正面から吹きつける豊橋名物の西風に邪魔され、何度も背後の葦にフライを引っ掛けながらも遠投を試みる。
が、しかし、白い浮子は一向に沈まず、ピクリともしない。
ふと振り返ると、知らぬ間に「増水」しており、置いておいたウェストバッグに水が浸きそうになっている。潮が満ちてきたのだ。(笑)
急斜面にへばりついたわずか九軒の集落に生まれ育った山猿はこれだから困る。
何の音沙汰も無いまま、飛ぶように往来する新幹線の轟音を聞き、長い長い貨物列車がのんびりと鉄橋を渡るのを眺めつつ、小春日和の午後の陽ざしを満喫して、3時に切り上げた。
次回はフライでボラを釣る方法をネットでよく調べて、捲土重来を図るのだ。
浜の真砂は尽きるとも.....シロートの愚行の種は尽きない。