再訪を誓って

1997/01/18(SAT)-1

 最終日の朝は3時半に起きた。支度をしてベッドの上に座り、テレビの上に置いたカメラで自分の姿を写す。

 約束通り4時15分にシャトルバスが来て、運転手さんが荷物を取りにホテルに入ってきた。なんと中年の女性ドライバーである。この早朝の勤務はとても大変であろうと思われた。小雨の降る市内をゆっくりとバスは走り、5時過ぎには空港に着いた。運転手のおばさんに

「雨が降ってるんで気を付けてください。とても助かりました」

 とお礼を言って別れた。このオークランドのシャトルバスサービスはとても親切なシステムだと思う。

 搭乗手続きを行い、時間があったのでお土産をいくつか買うことにした。オークランド国際空港では朝6時からほとんどの売店が営業していたので、行くときに買っておかなくても良かったのである。なるべく荷物にならないような小物の絵はがきとかバッジとかを買い込む。時間があればゆっくりと買い物を楽しむこともできたろうが、今回は釣りだけのための旅行なのでほんとに申し訳程度のみやげ物探しとなった。

 いよいよ、7時発のNZ35便が動き出し、名古屋までの長いフライトが始まった。朝日が雲の切れ間から顔を出し、空港のビルを照らす。離陸したジェットは次第に高度を上げ、ニュージーランドの海岸線が雲間に遠ざかってゆく。

 きっとまたいつか、この国を訪れることになるだろう。

 日本時間の午後5時過ぎに名古屋に着くと、意外にもそれほど寒くはなかった。一般の観光客とは少し違った風体の私は税関のお兄さんに懇意にされ、かなり長時間相手をしてもらう羽目になった。

 なんとか解放されてバスに乗り込むと懐かしの名古屋弁が飛び交っていた。

 名古屋駅でひろったタクシーの運転手さんはロッドケースを一瞥し、ルアーですかフライですかと訊ねてきた。釣り好きはどこにでもいるもんだと感心していると、運転手は問わず語りで自分の武勇伝を延々と話し出した。彼の話では若い頃はずいぶんと磯釣りに血道を上げ、小笠原から沖縄あたり、今話題の尖閣諸島のあたりまで釣りに行ったことがあるそうだ。いろいろやってみたが、やはり一番面白いのはカッポレの釣りだという。私は海の釣りはほとんどわからないのでふーんといって聞くしかないのだが、あれこれと話が進むうちにタクシーがアパートの前まで着いた。

 最後のひと仕事で重いバックパックを担ぎ上げ、真っ暗な部屋のドアを開ける。年賀状が数通とチラシが1枚、郵便受けに入っていた。月曜からは、またこのドアから会社に出かけ、溜まっている電子メールと、LANのトラブルに立ち向かう毎日が始まるのだ。

 アパートから会社までは、自転車で5キロの道のりである。


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