本棚から
留学に役立った本 英語論文に使う表現例文集
迫村 純男 / James Raeside 共著 ナツメ社 刊
ISBN 4-8163-2055-5
ニュージーランドへの渡航を間近に控え、将来必要になりそうな本を探していたところ、書店でこの本を目にしました。
へたな紹介文を書くよりも、本書の「はしがき」にご紹介したい内容がすべて書かれていますので、すこし長くなりますが引用します。
はじめて英語で論文を書くことの手ほどきを受けたのは、国際基督教大学の1年生のときでした。余白を十分にとらずに紙の左端から右端まで書いてしまうとアメリカの先生はその作文をそのままゴミ箱に捨ててしまうぞとおどかされ、用紙の使い方という基本的なことから習いました。文章はパラグラフを単位として書いていくのだということも特に強調されました。
実際の論文を書く訓練は、テーマを決めて文献を集め、これまでに発表されている研究成果をまとめて報告するというセカンダリー・リサーチの形で行われました。文献を読みながら、自分が引用したい箇所はノートカードに書き写し、著者名、書名/論文タイトル、出版年、出版地、引用箇所のページなどの文献データを書いていきます。
同時にアウトラインを書かされました。自分の報告書の構成を考えなさいということです。全体としていくつの章を設けるか、各章のセクション、サブセクションをどうするかを決めていきます。アウトラインはOKが出るまで何度も書き直しを命ぜられました。論文として読みやすい構成になっているか、論議が論理的に進められているかが厳しくチェックされるわけです。
アウトラインができあがると、それに沿ってノートカードを並べていきます。これは楽しい作業でした。トランプの神経衰弱ゲームのようにテーブル一杯にカードを広げて、どのように並べれば説得力があるかを考えながらカードの取捨選択をしていきます。カードの配列が終わったら、ドラフト(下原稿)を書くよう指示されました。地の文の英文のチェックの他に、カード化してある引用箇所を脚注として使う際の書式、つまり、書名にアンダーラインが引いてあるか、ラテン語の略号が正しく使ってあるかといった事項が厳しくチェックされます。ドラフトがパスすると、清書です。脚注が同じページに収まるよう、本文と脚注部分の割合を按配しながら清書し、目次と文献リストをつけて完成です。(中略)
本書では、英語で論文を書くときの書式について、すなわち、「英語論文の体裁」「論文によく使われる表現」「文献リストと脚注の書き方」の3点について基本的な約束事をまとめてあります。また、例えば用語を定義する際、define という単語や define the consept といった句を知っていても、実際に文章体として正しく使えるかどうかとなると別の話になってしまいます。そこで本書では、読者の皆さんの便を考慮して、論文でよく使われる英語の表現については、同僚の James Raeside 先生の協力を得て、例文を出来るだけ示すようにしました。これが本書の最大の特徴でしょう。(後略)
さらに、充実した索引により知りたい内容がすばやく検索できるのも、この本の大きな特徴です。英語で論文を書く可能性のある方は、ぜひ購入されて熟読することをお勧めします。