本棚から
The Colonial Angler's Manual of Flyfishing and Flytying
Ken Reinard 著 Fox Chapel Publishing 刊
イギリスにおける釣りの歴史を調べようとオークランドの市立図書館に行ったところ、まさに眼からウロコがハラハラという本を見つけました。
直訳すれば、「植民地時代の釣り人のフライフィッシング・タイイングマニュアル」
というような感じですが、17世紀中期から18世紀にかけて、例のアイザック・ウォルトンによる The Complete Angler:「釣魚大全」の時代のフライフィッシングをとことん再現してみようという果敢かつ膨大な挑戦の記録です。
その内容は、当時の釣りの歴史、釣り人のスタイル・衣装、六角竿が開発される以前の竹藪から切り出して継いだ竿、馬の尻尾を縒り合わせたフライライン、棒材から叩き出し、治具で曲げて作り上げたフック、当時のままの道具、当時のままのマテリアルで巻き上げた黎明期のフライなど、うーん......と唸らされる記述と写真に満ちあふれています。当時の衣装を身に纏った著者が、バイスを使わず指でフックをつまんでタイイングしている写真には感動を越えて畏敬の念を覚えます。
これらの膨大な研究、調査、復元、実行の努力の向こうに著者は何を見つけ、何を訴えたかったのでしょうか?
夏のニュージーランドの短い夜が、さらに耽読で短くなりそうな面白くてためになる本です。
1999/11/15