本棚から
フライフィッシング教書 シェリダン・アンダーソン、田渕義雄 共著
晶文社出版 刊
いよいよ出ました真打ち登場!! ということで、古くからその存在は知っていたのですが、買うのはこれが初めてという名著です。なんといっても1979年に初版が出て、96年2月時点で26刷ですから半端ではありません。年期が違います。
この本でフライフィッシングへの扉が開かれた....という方も大勢みえるのではないでしょうか?
何と言っても圧巻は微に入り細に入り書きくだかれたフライフィッシングのAtoZですね。ロッドのグリップの呼称からフェルールの種類、懐かしのハーディリールシリーズのラインキャパシティなど、これでもかというくらいにノウハウと蘊蓄が披露されます。
この本の後に出されたフライの入門書は、かなり苦しい立場に置かれることになったと思います。といいつつ入門書に終わらないだけの深みも十分あります。
共著のアンダーソン氏の "the CURTIS CREEK MANIFESTO" のパートは、大変面白いイラスト(というよりコミックか?)入りで綴られており、ユーモア溢れる語り口には思わず頬が緩みます。なかでも素手による鱒の掴み取り"GUDDLING" というテクニックの紹介には感心しました。この他にもベテランの豊富な経験が満ち溢れた本です。
何をいまさら.....という識者の声も聞こえそうですが、あえてご紹介しました。
確かに、カラー写真に並ぶフライパターンとか、当時流行し始めたニンフの釣りなどに関する記述にはさすがに時代を感じさせるものがありますが、そこは温故知新ということで、日本におけるフライフィッシングの変遷を感じる!というような読み方もできるでしょう。
この本を買ってみることにしたのは、以前にご紹介した永江さんの「雨がやんだらバス釣りに」という本の中に、この本をかなり意識して作られたからということが書いてあったからです。
人と人の出会いも不思議ですけど、本から本へのつながりや出会いも面白いものですね。
そういえば、大学時代の先輩の部屋にこの本があったことを思い出しました。佐藤先輩、今頃はどこにおられますか?大学から車で30分の市内の小さな沢で先輩が釣った尺モノ岩魚のことを思い出すなぁ.....