本棚から
留学に役立った本 語源で覚える英単語飛躍増殖辞典
島岡 丘 著 株式会社 創拓社 刊
ISBN 4-87138-158-7 C0582
トシのせいなのか、アタマのせいなのか、覚えた単語が見事にザルのような脳細胞からこぼれ落ちてゆきます。
そんな私がこれだ!と思った本が、島岡さんの「語源で覚える英単語飛躍増殖辞典」です。まえがきから引用しますと、
これまでの多くの学習者は単語を関連性もなく、一つ一つばらばらに学習する方式をとっていたようだ。また、一つの単語を一つの文の中でしか理解しないため、その応用がきわめて限られている。これまでの学習方法はいわば点的思考で、水平・垂直的思考または拡散思考をとってはいなかったように思う。
具体例を subway (地下鉄)にとって説明しよう。この語は、接頭辞の sub-(下に)と語幹の way とから成り立っている。sub のつく単語でも実に多くの語を作ることができる。以下はその一例である。
sub で始まる語
subject(主語)
submit(提出する)
subsidy(補助)
submarine(潜水艦)
sub-system(下部構造)
sub-division(下位分類)
sub-zero(零下、0 度C以下の)
つまり、道の下を走るものというイメージを持って学習するとよいのである。
と、接頭辞と語幹の組み合わせで生まれるいろいろな単語を例にとって解説されています。本編では、
効果的な単語の覚え方、
語源で増やす英単語、
セットで覚える英単語、
語源で覚える慣用表現、
意外な意味を持つ単語、
連想で覚える英単語、
カタカナ語から単語を増やそう
という順序でまとめられています。特に、語源についてはラテン語、イタリア語、古フランス語、古英語、スペイン語、ギリシャ語、フランス語、中期フランス語、中期英語など、現代の英語に含まれるいろいろな言語に由来する語源を知りながら、効果的に英単語が身に付くよう工夫されています。こうした語源に詳しくなると、まったく知らない単語でもかなり意味を類推できるようになると思います。
例えば、語源で増やす英単語というパートで、post という接頭辞についてみてみると、
ラテン語の post に由来し、「後の」「後ろの」「次の」の意味を表す。
posterior 後部の、後の、次の
posterity 子孫、後生
postmeridian 午後の
postpone 延期する、後回しにする
などと解説されています。こうして覚えておけば、
postgraduate 大学卒業後の、大学院の,
大学研究科の
postern 裏門, 裏口
postmodern ポストモダンの
という単語群も、すんなり理解できて身に付くことでしょう。
93年に発行されてから98年までの間に7刷されていることからも、大勢の人の共感を得ている良い本だと言えるでしょう。