留学に役立った本  日本人に共通する書く英語の弱点

ボブ・ヤンポルスキー / 週間ST編集部 共著  
株式会社 ジャパンタイムズ 刊

ISBN 4-7890-0794-4



 東京に出張した際、東京駅前の八重洲ブックセンターの英語関連の書籍コーナーで見つけ、即購入したのがこの本です。小さな判型の本ですが、中身はとても濃く、ためになります。普通に学校で英作文を学ぶだけではなかなか触れることのできない、ネイティブライターの「皮膚感覚」というようなものを身に付けることができます。本書の「はじめに」から引用しますと、

 英語で作文をするとき、多くの日本人がまず第一に気にするのは、文法と語法です。もちろん、こうしたことはよくわかります。作文という作業において、文法と語法はやはり、最も大切な2つの要素だからです。しかし、残念なことに、それだけが大切であるわけではありません。自分の語法と文法が正しいかどうかにあまりにもこだわりすぎてしまうと、しばしば、ほかの重要な問題を見逃してしまい、効果的でない文章になってしまいます。

 そこで、この本の目的は、英語で作文をするときのこうしたほかの重要な要素を説明し、英語を書く日本人がより明快で生き生きとした、そして、正確な、効果的な文章を書けるようになってもらうことにあります。

 本書では文法用語を使ってはいますが、私たちの関心の大部分は、文法規則という領域以外のところにあります。実際、正しい文(つまり、文法的ミスがない文)が必ずしも良い文だとはかぎらないということを、繰り返し強調してあります。

 この本は、単語の選び方、単語の並べ方、文と文のつなぎ方、文のリズムの整え方(句読点を含む)、段落の作り方、の5つのセクションに分かれています。タイトルは「日本人に共通する」となっていますが、実はここに書かれているのは英語を母語とする人にとってでさえ、問題になる分野なのです。しかし、英語の「ネイティブ・ライター」は高校や大学でこうした問題を回避したり、解決する方法について学びますが、日本人には普通そうした機会がありません。この差が、しばしば文章に表れてきます。(中略)

 本書はジャパンタイムズ発行のバイリンガル週刊誌「週刊ST」に WRITE AWAY というタイトルで連載されたものから抜粋し、まとめたものです。
 この WRITE AWAY というタイトルには、うまい英文を書きたいと思ったら、とにかく書き始めて、さらに書き続けるのがいいというメッセージが込められています。というのは、文章がうまくなるのは、書くという作業(もちろん、読むことも大切ですが)を通してのみだからです。本書が英語を書く人にとって、これからも書き続けるための、また、外国語で文章を書くという、難しいけれど、やりがいのある努力を続けるための何らかの助けになれば幸いです。

 と書かれています。本文のレイアウト、配色も見やすく、かゆいところに手の届く構成となっています。また、主な内容毎に設けられた練習問題が大変ためになります。

 英語の文章、手紙などを書く機会のある方は、ぜひ購入されて熟読することをお勧めします。なお、ジャパンタイムズからは、この他にも面白くてためになりそうな本が多数出版されています。

2000年 1月 27日 木曜日

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