飛行日誌
2003/09/27 秋晴れの高い空と飛行機雲
4時50分にセットした目覚ましがジリリと鳴り出す。慌てて止めたものの、外の暗さにびっくりしてまた布団にもぐり込む。うじうじとしながら明るくなるのを待ち、結局起き出したのは6時であった。機体やら道具箱やらを持って外へ出るとあたりは一面の霧、五里霧中。なんとなく不安になって、インターネットで天気を見ると、愛知県東部地方の今日は晴れ。それじゃぁ!と勢い込んで軽トラを走らせる。
河川敷にはちょうど7時半に着いた。いつもの諸先輩方もだぁれもいない。手投げ発進は出来るけども着陸にはいまいち自信が持てないのだが、速度の遅い電動化スカイカンガルーと自作の NORA400 なら、なんとか草むらに降ろせるだろうと支度を始める。いくら早朝とは言え、信じ難いくらいの快晴・無風なのだ。
まずは様子を見るために、スカイカンガルーに8セル500ARのニッカドバッテリーを積み、重心をチェック。8割ぐらいのスロットル開度で真っ直ぐ手投げすると、力強く上昇を始める。あまり吹かし過ぎて機首が上がりすぎないよう注意しながら高度をとる。秋が来て、だいぶ低くなった太陽が眩しいが、澄み切った青空の中を、独特の円弧型の翼端(改造後)を見せながら、スカイカンガルーがゆっくりと舞う。実に優雅である。
想定した範囲内を逸脱しないように上空での周回飛行を繰り返していると、4分にセットしたキッチンタイマーが胸のポケットで鳴り出す。
『お! そろそろ降ろさねば.........』
ぎりぎりまで粘ればもう2分くらい飛ぶだろうが、安全を見て4分飛んだら降ろすことに決めていたので、着陸態勢に入る。設定範囲の向こう側、少し遠い位置まで飛ばし、ゆっくり高度を下げながら左回りで滑走路の延長線上に乗せた。スロットルを絞り、高度を下げ、エレベーターの吊りとスロットルのわずかなオン・オフで調整しながら自分に向かって機体を誘導する。正面から見ると機体の面積が小さいので姿勢の確認が難しくなる。若干の追い風だったらしく(この辺を確認していないのがシロート....)意外と滑空が伸びたが、なんとか草むらにスイッと着陸させることができた。
『ふぅ.........』
思わず安堵のため息がでる。
さらに続けて8セル500ARをもう1本、8セル1100MAhニッケル水素をもう1本飛ばした。無風・微風の条件かでは、実に素晴らしい低速飛行ぶりを見せてくれる。
さて、地元のグラウンドでの滑走離陸・低空周回飛行ではなかなかの飛行だった自作機 NORA400 を、初めてこの河川敷で飛ばすことにする。軽めの7セル500ARを積み、スロットルの開けすぎに注意して手投げで発進させる。今月初めに草取りをしたばかりなのに、我らの滑走路はもうすでに膝ほどの高さに草が生い茂ってしまっているので、今日は滑走離陸は無理なのである。
あまりスロットルを開けてはいないのだが、頭上げと左に旋回する傾向が強く、思わず失速させてしまう。が、機体が軽くパワーに余裕があるので、少しダウンを打ちながら回転を上げると、危なげなく回復させることができた。(こう思っているのは本人だけかも知れない......)
高度をとった NORA400 が、これまたゆったりと秋空を舞う。さすがに軽いので、堤防の向こう側から吹いているほんの少しの横風に流されるのがよくわかる。ちょっとラダーを当てながら、自分の真上を通過させると、はるか上空にジェット旅客機の飛行機雲が伸びてゆく。
『向こうは重量200トン以上、こちらは590gだが、同じ空を飛んでるぞ』
などと意味無く張り合ってみたものの、高度と飛行時間の差はいかんともし難く、無情にもキッチンタイマーが鳴り出した。そろそろと着陸アプローチの位置に誘導し、ほとんど停止寸前までスロットルを絞り込んで旋回させるが、滑空が伸びるのでぜんぜん高度が低くならない。
『む! よし、やり直してもう一回旋回だ』
無理して降ろすのをやめ、パワーを入れて旋回させ、もう一度アプローチをやり直す。今度はさっきの半分くらいの高度で滑走路に向かってくる。パワー全閉、エレベーターで少し吊りながら、草まるけの滑走路に降ろした。
『おお! ゆっくりズム電動機で無風ならなんとか降ろせるようになった!』
主翼に落ちた朝露が眩しい秋の早朝であった。