釣行日誌 NZ編  「5000マイルを越えて」

いよいよニュージーランド

1997/01/12(SUN)-1

 よく眠っておくつもりが、うとうとすると次の機内食が運ばれてくるので食べては飲み、食べては飲みで結局一睡もできずにフィジー諸島はナンディ国際空港に着く。現地時間の朝5時40分である。暖冬とはいえ、1月の名古屋の気候と比べると、フィジーの湿気と暑熱にはげんなりとさせられる。彼方の山並みは熱帯の深い緑と険しい岩肌を見せており、「キングコング」のロケ地のようである。

 手持ちのフィルムを全部バックパックに入れてしまっていたので、売店で買うことにする。国内で買うより割高であるが、びっくりするほどではない。ついつい「コダック」の隣の「フジ」に手が伸びるのが我ながらおかしい。

 待合室には丸木舟のアウトリガーが展示してあり、船体となる大木の削り出しの見事さや、ロープの縛り方の美しさに見とれてしまう。

 ナンディを7時10分に発った飛行機は、11時にニュージーランド北島のオークランド国際空港に到着した。農業国ニュージーランドでは、入国の際の税関審査において、食品・食肉・植物・種子などの持ち込みに関して細かなチェックがある。

 審査書類に記載されている

 □動植物、魚類を扱う道具を持っているか
 □使ったことのあるスポーツシューズやブーツを持っているか

 という2つの項目にイエスを付け、赤色の窓口へと向かう。キャリアいっぱいの果物を持ち込んだ大柄な若者の後についていくと、女性の係官が尋ねてきた。

釣りですか?
 -はい。

海水の釣りですか?淡水ですか?
 -淡水、川釣りです。

ウェーディングブーツを持っていますか?
 -はい、でもそれは新品です。

フライタイイング用のマテリアルを持っていますか?
 -いいえ。

 などというやりとりの後、無事通過を認められた。書類には、誤った申告・不正な申告に対しては10万ドル(約900万円)の罰金か、懲役5年以上などと書かれていたので、実際はかなり不安だったのだが、これでひと安心である。この審査の時、ウェーディングシューズに泥や土がついているとその場で洗わされるそうである。

 出発前日にここぞとばかり発生した社内のコンピュータネットワークのトラブルによる疲れに機内での睡眠不足が追い打ちをかけ、よろよろと国際線から国内線乗り継ぎのターミナルに向かう。あまり人と話をする気にもなれない。

 カフェでソーセージサンドとオレンジジュースの軽い昼食をとり、気晴らしに外へ出て花の写真などを写す。なんと、ここでは4時間半もの待ち合わせ時間があるのだ。しばらくベンチでうたた寝をした後、帰りの旅程ではみやげ物を買う時間が無いかと思い、売店で絵葉書・キウィチョコなどを買い込む。工芸品店では、マオリ族の骨細工を売っており、大漁祈願のしるしという釣り針の形をした彫り物を買う。これが効いてくれれば良いのだが.....。

 ようやくのことで15時30分となり、ニュージーランド航空539便はクライストチャーチへ向けて離陸した。北島の西海岸から南島の西海岸沿いに飛んだ飛行機は南島北部のスペンサー山脈を越えてゆく。眼下には山脈から流れ出る幾多の渓谷が間近に見え、どこの川にも鱒があふれているような楽観的観測に陥ってしまう。山脈越えの途中ぐらいから、雲が多くなり、若干機体が揺れ始めた。と、思ううちに再び飛行機は東海岸へと出た。大きく旋回しながら高度を落とし、幾分曇りがちなクライストチャーチの空港に降り立ったのは、午後5時ちょうどであった。

 いよいよニュージーランド南島へ来たんだ!という感激も疲労のため半減し、呆然とバッゲージクレイムで荷物を待つ。ロッドケースは早々と出てきて大荷物の棚にスキー板などと一緒に並べられたので、そこに行ってバックパックを待つ。

 が、しかし、コンベアの上の荷物がきれいに片づき、他の便の荷物が流れ始めても私の古い青色のバックパックは出てこないのである。うーん、これまで無事にスケジュールが進んできたが、ここでハマったか!となかば諦観しながら、虚ろなコンベアを眺めていると、白い帽子をかぶった大柄な男性が近づいてきた。

「イトウサンデスカ?」

「はい、そうですが、ビルさんですか?」

「オー、イエース!」

 というわけで、フィッシングガイドのビルさんとは無事合流することが出来た。北海道から来たという松延さん夫妻も一緒である。夫妻は昨年、新婚旅行でこの釣りツアーに参加し、ビルと釣行したのだが、御主人の浩志さんが1尾のブラウントラウトを釣り上げたのみにとどまり、奥さんの仁さんは釣果ゼロだったので、今年はその雪辱戦とのこと。うらやましいことである。

 4人でしばらくコンベアを見ていたのだが、ビルさんが荷物係に問い合わせに行ってくれた。まァ、最悪の場合でも、ロッドとリールはあるのだから何とか釣りにはなるだろう。しかし、ウェーダー(釣り用の長靴)一式が無いのは痛いなあと思っていると、ビルがパックを軽々と持ってきてくれた。一瞬にして長旅の疲れは飛び去って、お礼の言葉をカタコト英語でぶちかます。

 こうして一同、前途洋々とビルの車に乗り、再び中央山脈を越え、南島西部のウェストランド地方へと向かうことにする。


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