2000年3月 忙しいワイカト大学での学生生活

3/1 (WED)

 昼前から大学を案内してくれるウォーキングツアーに参加、午後はセクシャルハラスメントや人種差別、警察に連行された場合の対処法(いわゆる黙秘権に関して等、まるで映画のようである)の説明を受けた。

 夜は市役所のホールで市長、民族評議会などのメンバーから歓迎の式典が催された。これまた楽しい夜であった。ハミルトンにはなんと80カ国以上からの移民が住んでいるらしい。また、埼玉県の浦和市とは姉妹都市だそうな。かくいう私もかつて南浦和に半年ほど住んでいたので不思議な縁である。

 夜、帰宅してばったりくたびれてベッドに沈む。

3/2 (THU)

 朝から講義棟で、大学院で学ぶ留学生のためのガイダンスを受ける。とにかく恥ずかしがらずに質問すること、トピック、テーマ、論文の書き方、研究の進め方などについて詳しい説明を受けた。非常にわかりやすい。

 午後はコンピュータのユーザーアカウント作成と大学システムへのログインの実習。3時頃モーテルに帰ると、ちょうどアメリカズカップの決勝戦、しかもニュージーランドが5連勝して優勝を決めるシーンを放送していたので思わず見入る。

 おめでとう!!! ニュージーランド!

 イタリア艇もよくがんばったが、いかんせん5-0では、実力差がありすぎたのだろうか? ま、とにかくNZ経済にとっては大きなプラスである。

 夜は、テレビで「アメリカで放送禁止になった世界各国のセクシーCM特集」というのをやっていた。ウィットあふれるCMが勢揃いしていて大いに笑った。

 ある男性が病院でサンプルを提出するように求められる。いろいろな雑誌が参考として置いてあるのだが、どれも役に立たない。悪戦苦闘した彼が、ふと待合室の前を通りかかると、とある雑誌のカラーページが目に留まった。その雑誌を手に部屋に戻った彼は、首尾良く事を成し遂げ、誇らしげに看護婦さんにサンプルを提出する。その広告には、イタリアのアプリリアというメーカーの高性能バイクが写っているのであった。(笑)

 セクシーなCMに限らず、CMの質自体は外国の作品の方が圧倒的に面白いと思う。日本の広告代理店はまともな仕事をしていない。また、発注側である企業の方も、実に勉強が足りない。くだらないアイデアにとんでもない金をつぎ込んでいる。

 また、外国の有名俳優や日本の無能タレントを出演させればコトが済むと考えている。アカンぜ、あれでは。

 昔、海外のCMコンテストでりっぱな賞をとったサントリーの子犬のCMや、ナショナルのラジオのCMが思い出される。いくら一本のCMの秒数が短いと言っても、まだまだ工夫の余地はあるだろう! 思わず大声になってしまった。(笑)

 くだらないと言えば、各自治体が作るイベントや、消防庁が作る防火キャンペーンのポスターも実に低レベルである。カワイイタレントのお嬢さんがでっかく載っていて、隅に小さくコピーが書いてある。あんなもん何が防火の役に立つんだ!

 阪神大震災で横倒しになった高速道路の橋桁の写真でも載せればよっぽど訴求力があるぞ! ハァハァ。

 留学日記にしてはあらぬ方向に話が飛んでしまうのであった。

3/3 (FRI)

 朝から新しいホームステイを探して、大学で紹介されたグレンさん夫妻のところへ再度訪問。奥さんからいろいろと訊ねられて、打ち合わせのような感じで話を進める。

 学校へ戻り、来週からの講義の時間割を確認する。実に忙しい週が始まりそうである。

 午後は、快晴のもと、洗濯に勤しむ。夕方から、町の教会で催される日本人関係者の集会に出かける。グレンさん夫妻も見えて、約20人ほどの日本人と10名ほどのニュージーランドの方々とで楽しく歓談してあっというまに時が過ぎた。

 モテルに戻り、明日のオークランド行きの支度をする。明日はアメリカズカップの優勝記念パレードがあるのだ!

3/6 (MON)

 朝一番から淡水の生態学(応用)の講義が始まる。さすがに教授の語り口は速い。付いていくのに精一杯である。

 今日の講義はこれだけだったので(2限目は来週から)、お弁当を食べて午後、保険会社2社を回り、自動車保険の加入を考える。国際免許では割引されないため、一年間の保険料が7万円ほどになるようだ。いやはや。

 午後、家に帰り、雑多な荷物の整理を始める。夕方、グレンさん夫妻がインドアサッカーの試合をしに大学へ行くというので付いていく。見ているだけのはずが突如、コートに引っぱり出され、足ガクガクの心臓バクバクの12分ハーフをこなす。死ぬかと思った。

 夜は盛大なディナーで、メージャー家における初めての夕食を楽しくいただく。

3/7 (TUE)

 毎週火曜日は授業時間割の関係で、講義が無い。朝からメールの返信を書いて昼食後、町へ買い物に行く。電気スタンドを1,000円ほどで買うが、肝心の電球の品質がお粗末である。買ってきて数時間使ったら切れた! オーストラリア製とのことだがお話にならない。明日取り替えてもらおう。 シェービングクリームは安いが品質はまずまず。約300円であった。

 夕方、ホストマザーのヘザーさんを手伝って、ご飯を炊く。手鍋で炊いたがうまく出来た。ふふふ、一週間後には電子レンジ用のご飯クッカーが来るぜ。

 夕食は魚フライとご飯、サラダでおいしくいただく。やはり白いご飯はおいしい。夕食後、夫妻の写真を見せてもらう。ついでにグレンさんのギター演奏まで飛び出して楽しい夜であった。

 明日は水文学の授業があるぞ!

3/8 (WED)

 11時からとメモしていた水文学の講義が、資料の見間違いで10時からであった! 20分ほど遅刻してしまい、肝心のコースのイントロダクションを聴きそびれてしまった。おまけに論文を読んでレビューを書く宿題が出て、てんてこ舞いである。

 明日は、3つも講義がある!

3/9 (THU)

 朝から、学部の講義:淡水の生物学(湖沼の成り立ち)、地球科学学科大学院生のための集中講義、淡水環境のマネージメントという3つの講義を受ける。それぞれ大量の参考資料が配付され、来週までに読むことを命ぜられる。

 帰途、スーパーに寄ると、省エネ型の電球が目に入ったので思わず買う。さすが西ドイツ製だけあって、細部の作りが丁寧である。もっとも値段も先日の貧相なオーストラリア製の14倍もするが。まぁ耐用年数が8年とうたってあるのでそれを信じて使おう。目にもやさしい色合いだし。

3/10 (FRI)

 今日は授業が無かったので朝から洗濯。その後大学へ行き、午前中は水文学の参考書を読み、図書館の新入生向け案内ツアーに参加。午後は地理学の参考書を探し、カバンいっぱいの本と共に帰宅。

 夜はグレンさんの両親、奥さんの妹さんと友人が来て楽しい第夕食会となる。グレンさんのお父さん(61歳)が見事なギター演奏でジョン・デンバーを歌うのにはまことに感動した。

 明日は宿題の論文批評を行う予定。

 自動車輸入会社から連絡があり、来週金曜日以降にはオークランドに取りに行けることになった。

3/11 (SAT)

 朝寝をして遅い朝食。昼からは水文学の宿題に取り組む。夕方、メージャー夫妻の友人宅でパーティ。

3/12 (SUN)

 公園のBMXを見学に

3/13 (MON)

 朝から授業、その後図書館で水曜日の宿題を行う。参考のために探した論文が、元の宿題の論文よりもはるかに長くてまいった。しかし、畑違いの生物学を学んでおり、バックグラウンドが貧弱な私は少しでも多くの論文を読まなくてはならない。おまけに読解力が頼りないのであるし.....。

 夜、サッカーの試合から帰ったメージャー夫妻と、いろいろ宗教論などをしながら楽しく過ごす。この先日本で英語を教える予定のある奧さんのリクエストでいくつかの会話文を伝授する。日本語を教えるというのは実に難しい。

3/14 (TUE)

 今日は講義がないので家で宿題を行う。低気圧のせいでおかしな天気だった。夕方、語学学校で友達になったトシ君からメールが来ていた。近々ハミルトンへ立ち寄ってくれるらしい。再会が楽しみである。

3/17 (FRI)

 昨日来るはずだったトシ君からの連絡はなく、しかたないので10時のバスでオークランドに向かう。大学横の書店で古本の各種教科書を仕入れ、バスでペンローズの自動車修理会社に向かい、輸入されてきた自動車の修理状況を確認する。その後ジョーさん宅に行き、おいしい夕食をいただく。疲れた。

3/18 (SAT)

 久しぶりにレディースベイに行き、小さな鯛を一匹釣る。その後、本屋を覗いた後に、ニューリンに向かい、吉永さんと映画を見る。帰宅するとヒトシ君が一足先に帰っていて、これまた楽しい夕食となる。

トモダチ ガ トオクカラキタノデ タノシイ タノシイ。

ビール ガ ウマイ

3/19 (SUN)

 朝からバスでタカプナのププケ湖畔の公園に行き、AFAC(Auclland Freshwater Angling Club)主催のキャスティング・コンペティションに参加する。

 距離競技では遅れをとったもののアキュラシーで挽回できた。中学生くらいの女の子から、ロングドレスを着こなしたおばあちゃんまで、見事なキャスティングを披露していた。さすがに鱒の国だけのことはある。

 帰途、昨日がホームステイ先のヘザーさんの誕生日だったので、花束を買って帰る。

3/22 (WED)

 怒濤のような宿題(主に文献の読破)が出され、青息吐息で読みにかかる。明日はトピックについてのディスカッションが待っている。

3/23 (THU)

 朝は淡水の生態学、午後一番でキャンベル教授と文献レビューのテーマの打ち合わせ、午後は地質学の大学院生のための発表会、そして淡水環境マネージメントのゼミへとなだれ込んだ。

 昼休みに、大学に隣接するNIWA(National Institute of Water and Atmospheric Research)のジャック・ブベー博士を訪れ、論文テーマについて意見を伺い、関連論文のリスト2冊をいただく。

 明日は、水文学の野外実習があり、郊外の湿地に設置された気象観測サイトの見学へ行くのだ。あー楽しみ!

 夜は、借りてきた本と1/5万地形図で、大学近辺の釣り場状況を把握する。(笑)

3/24 (FRI)

 朝から野外実習で郊外の泥炭地(Peatbog:Moanatuatua)まで出かける。地球科学で水文学を専攻する8名の学生とキャンベル教授の合計9人である。水平・垂直風向計、二酸化炭素濃度測定器、データ記録器、コンピューターなど、もろもろの計測装置の入った観測小屋を見せていただく。同様の観測サイトはニュージーランドにここともう一カ所だけだそうだ。ここを調査地点にして、大学院の博士課程の学生が、地質・水の流れなどをテーマにして論文を書いているとのこと。

 学校に帰った後、デモンストレーション(学部の学生のための実験実習などを行うときのための講義要領)の講座に出席。その後、コンピュータ室で水文学の宿題を済ませて提出。

3/25 (SAT)

 ホストファーザーであるグレンさんの知り合い、ブライアン氏の主催する乗合船チャーター釣行に参加。尺クラスの鯛を3匹釣る。荒れ気味の海の上で一日釣ったらとても疲れた。しかし鯛は旨かったァ。刺身でなくてムニエルというのが悲しいところである。

3/26 (SUN)

 昨日の疲れがどっと出て眠りこける。起きてから海水・淡水中の食物連鎖についての文献8稿を読破しレポートをまとめる。明日はそのトピックについてNIWAから講師の先生が来るのだ。

 夜、昨日釣った鯛のアラで、かなりいい加減な脳内レシピでスープを作った。ヘザーさんが、『ギョッ』という顔をして見ていた。(笑) でも、味は素晴らしかった。僕だけが食べた。

3/30 (FRI)

 午前中はばたばたと事務仕事の片づけ。自動車保険への加入、輸送会社への支払準備など。明日車を取りにオークランドに行くことにした。

 大学へ行って文献調べ、教授の部屋で宿題論文の入手、地球科学部の講演会「都市域の雨水流出に関する諸問題、洪水及び水質汚濁の視点から」を聞く。

 そして3時からは淡水環境のマネージメントのセミナーで、牧場地域の水質改善に関する模擬ディスカッションを行う。水質悪化が問題となっている地域の牧場主ABCグループの立場に立って、山林から牧場エリアの中を流れる河川の水質改善をいかに具体的に立案するかの検討である。講師はNIWAのクイン博士。宿題であった河畔地帯の生態系改善マニュアルはざっと読んでいたものの、他の論文のことをころっと忘れていて苦戦した。ポール君を筆頭に、クラスメートは実に良く予習している。追いついていくのに必死である。

 夜、例によっていろんな夢を見た。

3/31 (FRI)

 朝、バスでオークランドへ。自動車輸入代行会社、NZ仕様への改造のための自動車修理工場、登録事務所などを回り、日本から送り出して苦節1ヶ月、愛車パルサー 1989年式(笑)が乗れるようになった。

 緊張のニュージーランド国内での初ドライブを終え、ジョーさん宅へ行き、その後語学学校を訊ねる。母校はいいものである。恩師の方々と歓談し旧友とも会う。オークランド大学の書店で中古の参考書数点を購入。

 夜は上村さんとジョーさんと、ジョーさん手作りのキンピラゴボウ!!! でおいしい夕食。感謝感激!

 ああ、三月が終わる。来月は勉強頑張るぞ!


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