ラグラン港の日曜日、海の小物のサビキ釣り(4)

turigu.com通信 ■  [Vol.26] 2001.6.21 より


 皆様、こんにちは。ニュージーランド北島のハミルトンからお届けします「君よ知るや南の国」です。

 ハミルトンでは、当地出身のマオリ族(ニュージーランドの先住民族)の青年が、ジョージ・ルーカス監督の「スター・ウォーズ」次回作への出演が決まり、大きく新聞に載りました。
 ボディー・テイラー(Bodie Taylor)君、24歳は、マオリ伝来の「タイアハ」という武器の達人で、そのアクションを見込まれての抜擢だそうです。

 日本でスター・ウォーズのエピソード2が公開された折りには、ぜひ、格闘シーンにご注目下さい。

 さて、ラグラン港でのサビキ釣り(その4)をお届けいたします。

 ようやく私とN君とで1尾ずつのアジを釣り上げ、食欲に駆動された釣りの動作が一気に加速した。手元のマレットを手際よくぶつ切りにし、6本あるサビキのうち、1本おきに餌を付け、スルスルと底に沈める。沈む途中でマレットがつっついてくるが、底まで沈むと、あきらかに別のアタリが感じられる。

「ククッ・・・・・ククンッ」

「ちょっとゆるめて、スィッと!」

 難しい合わせがうまくいき、ぐぐぐんと心まで揺さぶるような興奮が柔らかいスピニングロッドを伝わって来ます。N君の竿にも、ほとんど入れ食いでアタっています。

「うほ~い! また釣~れたっと」

「これで5尾目!」

 たちまち5NZ$(約250円)で買った、発泡スチロールの素朴なクーラーボックスがアジでにぎやかになりました。

「コツコツコツ・・・・・・」

 ウルトラライトの穂先が、プルル・・と震えるのを見ているのは、なんとも言えない緊張と喜びがあります。

「よしっ!」

 と、合わせはバッチリでしたが、今度はなにか様子が違います。あっという間に引き込まれて、底の方を四方八方に駆けめぐっています。

「あれ? なにか大きいのが喰いついたぜ!?」

 青褐色の海の中で、わずかに見える銀鱗が、アジとは段違いのスピードでロッドを引き絞っています。

「うん? やけに平べったいな?」

 ようやく魚影が見えました。どうやらアジやカウワイの大物ではありません。体長は20cmを少し越えたぐらい。薄黄色の体高のある胴体と細く伸びた尾鰭が特徴的です。

 細い糸と、大きなオモリが付いていることを考えると、無理は出来ません。足元には何本もの木杭が林立しています。

「あ! トレバリーだ!」

 小さくてもトレバリーはトレバリー。一時水面に浮いたものの、またしても潜り込んで抵抗します。なんとかタメて弱らせ、水際で外れないように慎重に巻き上げてきます。

「おーっ やったーっ!」

 これも初めて釣る魚です。この大きさにしてこの引きですから、よく雑誌に出てくるような、60cm級のトレバリーのファイトは想像もできません。残念ながら、この日釣ったトレバリーは、最低体長制限に満たないのでリリースとなりましたが、いつかは大きいヤツを釣ってみたいものです。

 その後、アジのダブル、トリプルヒットや、久しぶりのカウワイなどを交え、小さなクーラーには十分な釣果となりました。お隣のフランス語のカップルからは、

「たくさん釣ったなぁ! 小さいけど」(笑)

 と声をかけられ、うれしハズカシで桟橋を後にしました。地元の人には信じられないでしょうが、絶品の味を楽しめる、新鮮な小アジが手に入ったのです。

 帰宅後、N君が刺身担当で、たくましくゴツイ手ながら、器用にアジの皮を引き、涙が出るほど切れない包丁でだましだまし調理し、食卓には大皿いっぱいの刺身ができました。私は一夜干し担当で魚を開き、たっぷり塩を振ってから物干場に吊しました。(笑)

 アジ、カウワイの刺身、刺身醤油、チューブ入りのワサビ、冷えたビール。異国に暮らす身としては最上級の夕食です。

 日本人に生まれてよかったなぁ・・・と改めて感謝しました。

 次回は、自分で好きな文字が選べるニュージーランドの自動車ナンバープレートについてお伝えします。ではまた。

 鬱陶しい梅雨空の日本だと思われますが、食中毒などにはくれぐれもお気をつけ下さい。幸い、私達はこの日の刺身ではアタリませんでした。(笑)


君よ知るや南の国   目次へ

サイトマップ

ホームへ

お問い合わせ

↑ TOP