父の釣り口伝
「アメ、アユ、ウナギで六十年」 まえがき
私の父、伊藤肇は、昭和六年生まれ、今年平成二十七年で八十四歳になります。
父は、ものごごろついた頃から、やはり釣り好きの祖父、伊藤文三の影響(というか、伊藤家に代々脈々と流れる釣りキチの血筋)で釣りを始め、現在に至るまでフナ、コイ、アメノウオ(アマゴ)、ウナギ、アユ、そして数々の海の魚を釣ってきました。
この釣り口伝 「アメ、アユ、ウナギで六十年」は、そんな父が、週末に在所に帰る私を相手にして、酒に酔おうと酔うまいと昔の武勇伝を吹きまくる問わず語りを録音して原稿に書き起こしたものです。
例によって大変長い読み物になってしまいましたが、どうぞおつきあいください。
それではここで、伊藤肇から、みなさまに一言ごあいさつを.....
(ううっ、宝石の美宝堂みたいだ。名古屋地区のみなさんは(笑))
--お父ちゃんなァ、インターネットって知っとるか?
知っとるかって、そんなもなぁ知らんよ。(笑)
--こないだっから録音しておったお父ちゃんの魚釣りの話をなあ、ワープロで打ってコンピューターに入れて、全世界的に見られるようにしたでな。
あっはっはぁ!そうかや。まあようわからんが、エライ世の中になったわなぁ。(笑)
--それで、その公開にあたって、一言コメントをして欲しいんだけど。
うーん、まぁそりゃあ、そんなに言いたいことも無いけど(ウソだろおい)。 まぁ何だなァ、アメでもアユでもウナギでもそうだけど、昔の人はいろいろ苦労して、釣って食べる、食べるために釣り方を工夫したってことだわなぁ。
毒バリだって、あのクネクネヌルヌルのウナギを釣り落とさないように一所懸命考えたんだと思うよ、昔の人が。
まぁそれと、いろいろなことが昔はあったっていう、その温故知新って言うか、あんなバカ話でもなにがしか伝わればっていう気がするけどもさ。
読んだ人によろしく言っといてくりょぉ....
なお、語り手・聞き手ともに三河山間部の方言丸出しで会話しております。できるだけ方言の解説を( )の中に記しましたが、読みにくい原稿になっていますことをお詫びします。標準語に直しちゃぁつまらんもんだい、どうだらぁ?
また、文中の--で始まる発言は、聞き手の私の言葉です。