君よ知るや南の国
ラグラン港の日曜日、海の小物のサビキ釣り
■ turigu.com通信 ■ [Vol.23] 2001.5.7 より
皆様、こんにちは。 ニュージーランド北島のハミルトンからお届けします「君よ知るや南の国」です。日本では連休も明け、5月のさわやかな季節を満喫しておられることと思います。
ハミルトンは、週末の大雨と激しい風で、街路樹の紅葉が一気に落ちてしまい、晩秋らしい風景になりました。
さて、今回は、ラグラン港でのサビキ釣りをお届けいたします。
ラグラン:Raglan は、ハミルトンから西に車で45分ほどのところにある小さな湾に面した静かな町です。景色が良いことから、老後の暮らしを楽しむお年寄りの家が多く、また若者にはサーフィンのできる浜辺が人気です。湾の一角に水揚げした魚を選別したり冷凍や薫製などの処理をする水産加工所があり、そこの桟橋が私達のお気に入りのポイントです。対岸にはぽつぽつと別荘が建ち並び、ヨットや釣り船が沖を目指して走って行きます。空は青、牧草は緑、海も青、と、まことに穏やかな風景が楽しめます。
今年の秋になって、釣りの愉しみよりは、むしろ食べるほうの欲求から、友人のN君と
「なんか海の魚が食べたいねぇ.....」
「とりあえず、サビキでも持っていって試してみようか?」
ということで相談がまとまり、どこへ行ったら釣れるのか、まったく知識は無いのですが、ハミルトンから一番近いこのラグランの町に出かけた次第です。ちょうど秋の4連休、イースターホリデーの最終日ということもあり、桟橋は大勢の家族連れで大賑わい。思い思いの仕掛けで釣り糸を垂らしている人たちは、インド、中国、韓国、東南アジア、マオリ、ヨーロッパ系とバラエティに富んでいます。そこへ新たに参入したくたびれた風体の日本人2名は、なんとか空いていた桟橋横の階段に腰を据えました。
いそいそとサビキを取り出して仕掛けをセットしていると、水面にはなにか青色をした20cmほどの小魚が、大きな塊を作って群れ泳ぎ、水面に飛び出しては餌をあさっています。日頃からスプリングクリークの平均25cmの虹鱒を相手にしている私には、十分すぎるほど興奮する光景です。(笑) さらに、ときおり、小魚の下からなかなかの大きさの魚影が、銀色の体側を光らせて反転するのが見えます。カウワイかなにかが小魚を狙っているようです。
いよいよ竿の支度はできました。いつも使っている渓流用のスピニングロッド、5フィート半に4ポンドのルアー用ライン、すでに英語になっていると言ってよい SABIKI 仕掛けが、オモリ代わりの12gのスプーンに導かれて少々青濁りの水中へ沈んで行きました。コマセを持っていないので果たして素のサビキになにか食いつくのかいささか不安ですが、まわりの子供たちに混じって、ワクワクと楽しい休日の午後が始まりました。(続く)
次回は、いよいよ! というか、なんとか釣り上げた小魚を餌にしてのサビキ釣りをご紹介します。
こうやって書いていても、海釣りの経験の無さと道具の粗末さは恥ずかしい限りで、藤井さん、小巻さんと同じ紙面に載る内容とはとても思えないのですが、前座の露払いを務めるべく頑張ります。